業務支援システムを戦略的に活用したアメリカン航空

業務支援システムを戦略的に活用したアメリカン航空

携帯電話はおろか、インターネットという言葉すらなかった70年代後半のアメリカで、DXを実現していた会社があったと言ったら、信じられるでしょうか。
事務処理の効率化などで、ようやく一般企業にコンピューターが導入され始めた70年代後半、米国の国内路線大手アメリカン航空は、旅行代理店からの座席予約に関わる事務作業の合理化を目的に、電子航空予約システムSABREを開発。当初社内で運用していた同システムを、同社では旅行代理店に端末を配置し、直接搭乗手続きができるようにしました。リアルタイムで空き状況の確認と予約手続きが可能になることから、代理店の担当者は、搭乗手続きが簡単で便利なアメリカン航空の路線に優先的に座席予約するようになり、その結果、常に高い搭乗率を維持したアメリカン航空は、急速な売上げ増を実現。さらにこの座席予約システムを他社の航空会社でも利用できるようにしたため、手数料収入も入り、利益も大幅に増加しました。
また、同システムによる搭乗率の測定結果から、利益の正確な見通しが可能になったことで、運賃値下げといった大胆な価格戦略で他社との競争優位性を高め、業界トップの座を揺るぎないものにしたのです。
業務支援システムを戦略的に活用することで、販売戦略、事業戦略に大きな変革をもたらし、圧倒的な競争優位性を実現させたアメリカン航空のこの事例(後にSIS(Strategic Information System:戦略的情報システムと呼ばれる)は、私たちが目指すDXの典型を見せてくれていると言えるのではないでしょうか。