ショートストーリー/これがDXの現実なのか!②

ショートストーリー/これがDXの現実なのか!②

第2話/ざわつく新システム説明会

役員を前にしたプレゼンの翌日、Aさんは新しいシステムを紹介するため、一般社員向けにシステムの仕組みや使用法方法、注意事項などについて、早速説明会を開いた。

会場となった大会議室には、関係する部署から社員50人ほどが集まっていた。

ただ、説明会に参加したほとんどの社員の表情は硬く、どこか落ち着かない様子を漂わせ、説明会が始まるのを待っていた。

予定時間になり説明会が始まった。演壇に立ち、参加者に軽いあいさつをしAさんがあらためて会場を見渡すと、そこにはどこか冷ややかな表情を浮かべた参加者の姿があった。

自信満々で説明会に臨んだAさんは、会場の雰囲気に戸惑いを感じていた。あいさつも早々にAさんが早速説明を始めると、会場はすぐにざわつきはじめた。説明を聞くほとんどの社員の表情からは不満の色がにじみ始め、しばらくすると、会場のあちこちで新システム導入に難色を示す会話が交わされ始めた。状況が飲み込めないまま、Aさんは話を続け、約30分間の説明会は終わった。

社長や役員と同様に、一般社員からも賛同が得られるものと意気揚々説明会に臨んだAさんだったが、会場に集まった社員の反応を目の当たりにし、説明会が終わる頃にはすっかり自信をなくしていた。社長や役員も高く評価してくれたこのシステムに対して、社員の多くが不満そうな表情浮かべていた理由が、Aさんにはどうしても理解できずにいた。

「何がそんなに不満なんだろう」。会場に集まった社員たちの表情を思い出しながら、Aさんは、言いようのない不安を感じていた。