中小企業でIT担当と言えば、多くの場合総務や経理部門に在籍する若手社員をイメージするのではないでしょうか。パソコン操作やITリテラシーの高さから、そうしたポジションを任されることが多いようです。
仕事の内容はというと、業務効率化やデータ管理業務といったところが一般的ですね。そのため、企業がDX推進を図るとき、ITに詳しく、普段から業務でデジタルツールに接している彼らIT担当者に、その役割が与えられるケースが少なくありません。
ただ、残念ですが、総務・経理部門に在籍する彼らが、トップが期待するようなDX推進の役割を担うことはほぼ難しいと言えます。なぜなら、業務効率化やデータ管理業務の仕事を抱えながら、経営戦略の一端を担う、本来のIT業務に専心することはとても難しいからです。
DXは単なる効率化や合理化といった課題解決の手段ではなく、経営の在り方を広い視点で考える戦略的な取り組みです。そうした理由から、企業がDXを推進するなら、彼らIT担当者を、経理や総務といった業務支援の部署から、経営戦略にITを活用するためのDX部門、あるいはIT部門といった、経営の中枢を担う部署に彼らを在籍させ、IT技術を経営戦略に活かすために働いてもらうことが必要になります。
DXというと、とかくデジタルや、ITといいた技術的な課題に目が行きがちですが、実は会社組織、人事の問題も見逃すことができない大変重要なポイントといえます。